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もみぢを拾ふ

天球のピースを拾う紅葉狩
季語:紅葉狩


もみぢを拾ふ


俳句を始めて一年余で作った俳句は、本ブログに掲載していないもの、未だ推敲中のものを含めると、百をゆうに超えつつあります。それに伴い、「雪」「花」「月」をはじめ、扱った季語も数知れぬほどとなりつつありますが、実は、「紅葉」については悉く避けてきました。

理由は至極簡単なことで、どうにも陳腐な発想しか思いつかず、また厖大な例句や麗句に翻弄され、硬直させられ続けてきたためにございます。いやはや、こうも赤裸々に申し上げるのも情けない限りですが。

なぜ「雪」「月」「花」でやれて「紅葉」でやれなかったのかと問われれば、しっかりと例句に向き合ってこなかった若さが、それを可能にしたというだけでしょうね。様々なものを読み込めば、安易なものは作れなくなっていくのが当然といった中で、代表的な季語であればあるほど、身近なところに近づけば近づくほど、距離を狭められてストロークが出ずに、陳腐へ沈み行くことに、やっとこさ気づいてしまったからでしょう。逆説的ではありますが、初心者の頃であれば寧ろ安直な句作をもって満足するために、句として残ったのでしょうね。

さらに付言すれば、こちらの方が大きな理由かもしれませんが、どうやら私の扱う句材、題材は、暗いものを含むことが多いようですが、それに対して私の中にある紅葉のイメージが、どうしても日差しのある優しくて明るいものであったこともあるのでしょうね。つまり、暗く発想しがちな私にとって、明るい季語がどうしても難所となってしまったと。自己分析しながら泣けてきますが、そういうことでしょうか。

ということで、今回は少々、姑息に記事を作成していこうと思います。何がどのように姑息であるかは、追々申し上げるとして、そろそろ本題に参りましょうか。

まず、前掲イメージとともに、二つの俳句をご覧ください。

天球のパズル嵌めんと紅葉狩
季語:紅葉狩

天球のパズル埋めんと照紅葉
季語:照紅葉

この二句は、中七と下五の一字ずつを除けば、全て同一単語、同一語順で作ったものです。しかしながら、さすがは季語でありまして、この違いによって、相当に意味が異なってくるわけです。

まず上五・中七については、天球(早い話が空のことですが)を埋めてゆく紅葉葉を、ジグソーパズルだと見立てた上で、このパズルの完成しない部分(前掲イメージ中の小さき空のこと)を埋めようとしている、という意味です。

それを受けて、下五の季語でございます。

「紅葉狩」となれば、上の十二音は、紅葉狩をしている人々の様子をいうことになります。よって、空を仰いだり足元を見たりして進む紅葉狩の一行の様子を、空のパズルを埋めるピース(早い話が紅葉)を探しているようだと形容する俳句となります。

一方「照紅葉」となれば、これは光るように美しく紅葉したもみぢ葉を指しますから、空という未完の部分を埋めようとするのは、あくまでも紅葉そのものということになります。したがって、紅葉をたんとつけた枝が空を黄赤に埋めていくという風景になるでしょうか。

このように、季語がたった一字変わるだけで、俳句の内容はガラリと変わってしまいます。他にも、「紅葉狩」と言った時と「照紅葉」と言った時を比べると、日差しの感じや、その空間の広さについて、ニュアンスが異なってくるでしょう。歳時記というのは、そうした世界観のいわば四次元ポケットなわけです。


ところで。ところで、なんですけれど。
今更申し上げるのもどうかとは思いますが、


実は上の二句は、個人的にはさほど気に入っていない俳句なのです。

童心に帰ったような発想の俳句にしては記述が気取り過ぎていて合っていない感があって、つまり早い話が、小賢しいように思えてしまうのです。自句自解の評としてこう書くことにつくづく情けなくて泣けてきますが、ね。

ということで、もう少し素直な句を、本稿の中心としました。


天球のピースを拾う紅葉狩
季語:紅葉狩


童心に返ったような見立てをしたならば、そんなに気取らず相応の記述にした方が何となくしっくり来ますね。そもそも、圧倒的にわかりやすくなりますし。

いかがだったでしょうか。

ここまできて、なぜ今回の記事が姑息なのか、お分かりになりましたか?

それは、わざと二つの句を自句自解でボロカスにすることで、自らの幼稚な発想、拙い句作を、精一杯肯定しているからです。少々子どもっぽいと思わせておいて、それを自ら意図したことだったと最後になって後出し的に明らかにすることで、相手の手番を少なくしているからです。

私の性の悪さが如実に出ている記事でございました。

何かコメント等ございましたらば、是非是非ご投稿ください。
貴重なご意見、ご感想、誠心誠意をもって受け止める所存にございます。
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