冬夕焼

かはたれを吸ふて甘やか凍豆腐
季語:凍豆腐

西天を吸ひつ吸はれつ冬の海
季語:冬の海

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冬の夕焼けの俳句を今日は二つほど。
とはいえ、さほど解説もいらぬとは思いますが。

上の俳句は、夕暮という時間の雰囲気、その深い色を吸って甘くなっていくような、そんな凍豆腐(高野豆腐)の美味しそうな感じを詠みたくて作ってみました。「かはたれ」を選んだのは、「夕暮」だと陽のイメージが強いのではないかと思ったのと、やはり「かはたれ時」とも言うように、その時間を全体的に指す「かはたれ」を吸い込んでいると言う比喩の方が気に入ったためです。時間を全体的に指す類語に「黄昏」がありますが、「黄昏を吸う」だと何だか高野豆腐が黄色く見えてきちゃって不味そうだなと思ったので、却下いたしました。

下の句は、斜陽に明るい空の色が「冬の海」の彼方に沈んでいきつつ、「冬の海」自身の青色もゆっくりと遠ざかっていく(そして手前から昏い冬の夜がやってくる)という様子を一気に伝えたくて、このようにしました。この句について「夕暮」などの語にしなかったのは、「西天」が、単純に西方の空のことを指す語、すなわち夕方を表す語であると共に、西方浄土を表す語でもあるからです。「冬の海」の持っている涸れつつも清らかな性質を際立たせる語を選んだ結果、このようになりました。とはいえ、そのような思い解釈に至らずとも、「西天」の色と「冬の海」の色が、どちらが先かもよく分からぬままに西の方へ遠ざかっていく様子を思い描いていただければ十分かと思います。
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