蠢動と葬送

春水や 朝の黒潮紅潮す
季語:春水

雪解の季節。

春水の流れ込む海にも、生の爆発が感じられ始める頃です。

数日前に啓蟄を迎えましたが、何も虫だけではないでしょう。

生命の讃歌が、強東風あるいは桜前線に乗って列島を駆け巡る季節がやってまいりました。

しかしながら、その耽美な行進曲は、同時に蠢動を促し、閑寂な季節の終わりを告げて気忙しい空気をも連れてきます。

蠢動は、何も希望に満ち満ちたものではありません。

自然界でも、熾烈な生存競争のホイッスルが鳴り、生と死の曖昧な混沌(時にそれを賽の河原と呼ぶ、それらのカオス的な圏域)へ踏み入れるものが多くなるものです。

蠢動の行進曲は、いわば生命に対しての、ガイアによる葬送曲であり、それによって生き物は、ガイア以前の世界すなわちカオスへとゆくのでしょう。だからこそ、来週にはお彼岸があるのではないか、と僕は思います。

まず、何よりもみなさま、お体に気をつけてお過ごしくださいませ。
決して、その混沌とは無縁なる日々をお過ごしになられますよう。



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